新株引受権が贈与の対象になる場合

新株引受権とは

新株引受権とは、株式会社が新株を発行する際、それを優先的に引き受ける権利のことを言います。一般的に会社が増資などで新株を発行する際には株主の持ち株割合に応じて平等に新株を分配しなければいけません。

新株引受権の課税問題

同族会社の新株の割当てを受けた者がその新株を引き受けずに、代わってその株主の親族等が引受権を行使した場合には、その新株引受権は贈与によって取得されたものとみなされ、贈与税が課税されることになります。

また、増資前の株式の割合に応じて新株の引受がなされなかった場合についても、その割合を超える新株引受権の割当て部分について贈与によって取得したものとみなされます。

なお、会社法においては自己株式の処分による株式の割当てについても新株発行と区別せずに扱うこととされているため、贈与税の取扱い上、新株の発行及び自己株式の処分に係る引受権を総称して「募集株式引受権」と定義しています。

同族会社が新株の発行(当該同族会社の有する自己株式の処分を含む。)をする場合において、当該新株に係る引受権(以下「募集株式引受権」という。)の全部又は一部が会社法に掲げる者(当該同族会社の株主の親族等(親族その他法施行令第31条に定める特別の関係がある者をいう。以下同じ。)に限る。)に与えられ、当該募集株式引受権に基づき新株を取得したときは、原則として、当該株主の親族等が、当該募集株式引受権を当該株主から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。

相続税法基本通達9-4

贈与により取得したものとする募集株式引受権数の計算

誰からどれだけの数の募集株式引受権の贈与があったものとするかは、次の算式により計算されます。この場合においてその者の親族等が2人以上あるときは、当該親族等の1人ごとに計算します。

A×C/B=その者の親族等から贈与により取得したものとする募集株式引受権数

A:他の株主又は従業員と同じ条件により与えられる募集株式引受権の数を超えて与えられた者のその超える部分の募集株式引受権の数

B:当該法人の株主又は従業員が他の株主又は従業員と同じ条件により与えられる募集株式引受権のうち、その者の取得した新株の数が、当該与えられる募集株式引受権の数に満たない数の総数

C:Bの募集株式引受権の総数のうち、Aに掲げる者の親族等(親族等が2人以上あるときは、当該親族等の1人ごと)の占めているものの数