相続税の2割加算
相続税額の2割加算制度の趣旨
2割加算制度の立法趣旨は、相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人と血縁関係の疎い者である場合や全く血縁関係のない者である場合には遺産の取得に関し偶然性が高いこと、また、意図的に被相続人が子を越えて孫に遺贈し相続税の課税を一回免れようとする場合にも、配偶者や子供、親が相続する場合に比べ、多くの負担を求めることが合理的であることとされている。
概要
相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続前に死亡し又は相続権を失ったため、代襲して相続人となった当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合には、相続税法17条により算出した相続税額にその20%を加算した金額が、その者の相続税額となる(相法18)。
加算が行われる者は次の者以外の者である。
- 被相続人の一親等の血族
被相続人の一親等の血族には、その被相続人の直系卑属が被相続人の養子となっている場合(いわゆる孫養子)は含まれないものとされ2割加算の対象となる(相法18②)。ただし、代襲相続人となっている場合は除かれ2割加算の対象にはならない。 - 被相続人の配偶者
被相続人の一親等の血族や被相続人の配偶者が相続を放棄し又は廃除され若しくは相続欠格者となっているにもかかわらず、被相続人から遺贈を受けた場合には2割加算の適用はない。これらの理由により被相続人の一親等の血族や被相続人の配偶者の地位を失うわけではないからである。 - 被相続人の一親等の血族又はその直系卑属が相続開始前に死亡し、廃除され、又は相続欠格者に該当するため代襲して相続人となった被相続人の直系卑属
この場合の直系卑属は「代襲して相続人となった」者に限られるから、被相続人の代襲相続人が相続を放棄して、死亡保険金、死亡退職金や遺贈を受けた場合には2割加算の対象となる。
相続時精算課税適用者に係る例外
相続開始の時に被相続人の一親等の血族(被相続人の直系卑属が相続開始前に死亡し、又は相続権を失ったため、代襲して相続人となった被相続人の直系卑属を含む。)に該当しない相続時精算課税適用者については、その相続税額のうち被相続人の一親等の血族であった期間内に被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税制度の適用を受ける財産の価額に対応する相続税額については、2割加算の対象とはならないこととされている(相法21の15,21の16②、措令5の2)。