遺言による換価分割(清算型遺贈)は、遺産を換価し、その対価として得られる金銭を共同相続人間(包括受遺者を含む。)に分配することを指示した遺産分割方法の指定である。
遺言執行者がある場合は、遺言執行者が相続財産の一部又は全部を換価して相続人や受遺者に分配することとなる。
換価分割において、遺言の文言から「換価して分配するように指定された遺産を相続又は遺贈により取得する者が確定できる」ならば、当該相続人又は受遺者が譲渡者である。
しかしながら、換価対象財産を誰に相続させるのか(分割方法の指定)、遺贈するのか(特定遺贈)が明確に記載されていない遺言が少なくない。
この場合は、遺言者の意思を推定することになるが、考え方はおおむね次のとおりである。
遺言の内容 | 遺贈資産に係る譲渡所得の納税義務者 | 相続税に関する影響 |
遺言による換価分割 | 相続人・包括受遺者 | 換価資産の相続税評価額と時価との差を調整する |
法人に対する遺贈 | 被相続人(準確定申告) | 未払所得税は相続債務となる |
個人に対する遺贈 | 課税されない | 受遺者は相続税の納税義務者となる |