相続税の連帯納付義務者が立て替えた相続税相当額について贈与税課税が行われるか

POINT

相続税の連帯納税義務者が他の相続人の相続税相当額を立て替えて納付した場合でも、立替納付が直ちに本来の納税義務者に対する贈与とはならない。連帯納付義務者が求償権を放棄したとき(積極的に放棄していなくても、明らかに求償権を行使しないと認められる場合を含む。)に贈与があったものとして取り扱うこととされている。

同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した個人間には相互に連帯納付義務がある(相法34①)。相続人の一人が相続税を納付しないときや、相続財産が不動産ばかりで金銭納付することができない場合に、連帯納付義務者である他の相続人が相続税を立替納付することがある。この場合、実務上、立替納付した相続税相当額について贈与税課税が行われるかという問題が生ずる。立替納付があっても、本来の納付義務者が資力喪失の状態にあるときは、贈与税は課税されない(相法8、相基通8-1、8-3、8-4)。

本来の納付義務者が資力喪失の状態にない場合であっても、立替納付が直ちに本来の納税義務者に対する贈与とはならない。連帯納付義務者が求償権を放棄したとき(積極的に放棄していなくても、明らかに求償権を行使しないと認められる場合を含む。)に贈与があったものとして取り扱うこととされている(1)(相基通34-3、8-3)。

(1)加藤千博編『相続税法基本通達逐条解説(平成22年版)』p.496。

立替納付した者が死亡し、相続が開始した場合には、立替納付金相当額は、本来の納税義務者に対する貸付金として遺産に計上することが必要となる。

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