養子

養子は養子縁組の日から養親の嫡出子としての身分を取得し養親の法定血族となる(民法809)。

養子は他の嫡出子と同等の相続権を取得する。

養子縁組は戸籍法に基づく届出により効力を生ずる(民法799、739)。

養子縁組により親族関係を生ずるのは、「養子」と「養親及び養親の血族」との間である(民法727)。

養子縁組により「養子縁組前に存在した養子の子供や孫」と「養親」の間には親族関係は生じない(民法727)。

特別養子縁組によらない限り、養子縁組をしても養子は実父、実母との血族関係は継続するので、養親と実親双方の血族関係が併存する。

特別養子縁組の特徴は、家庭裁判所の審判によって縁組みが成立すること、養親は夫婦に限られること、養子は原則として六歳未満であること、養子と実方の父母等との親族関係が終了すること、離縁は審判によるが養親側から離縁請求はできないことなどである(民法817の2~817の11)。

相続税の計算をするとき、①基礎控除額、②生命保険金及び死亡退職金の非課税限度額、③相続税の総額の計算については、民法の定める相続人の数(法定相続人)を基に行う。これらの計算をするときの法定相続人の数に含める養子の数は、被相続人に実子がいる場合は一人まで、実子がいない場合は二人までと制限されている(相法12、15、16)。ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数を相続人の数に算入しないで計算することとされている(相法63)。

なお、次のいずれかに当てはまる者は、実子として扱われ、全て法定相続人の数に含めて計算する(相基通15-2、63-1、63-2)。

  1. 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている者
  2. 被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となっている者
  3. 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた者で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった者
  4. 被相続人の実子、養子又は直系卑属がすでに死亡しているか、相続権を失ったため、その実子などに変わって相続人となった直系卑属。

■養子縁組により身分が重複する場合の相続分

・実の親が非嫡出子を養子とした後に死亡し相続が開始した場合

非嫡出子であった実子は、実の親の養子となることにより嫡出子の身分を取得し、非嫡出子の身分が消滅するので非嫡出子と養子の地位に基づく相続分が重複することはない。

・被相続人Aが「Aに先立ち死亡したAの代襲相続人であるAの子供Bの子C(孫)」を養子としていた場合

子Bが生存していれば、Aの相続には子供Bと孫Cであり、孫Cは子供Bの相続した財産を子供Bが亡くなったときに相続することができるから、養子としての相続人の地位と代襲相続した子供Bの相続人の地位とは排斥しあうものではない。重複して身分を取得する事ができる(戸籍先例:昭和26・9・18民甲1881回答)。したがって、Aの孫Cの相続分は代襲相続人としての相続分と養子としての相続分との双方の相続分を有する。ただし、このように相続人の中に代襲相続人であり、かつ、被相続人の養子となっている者がいる場合の相続税法15条2項に規定する相続人の数については、その者は実子一人として計算する(相基通15-4)。

・被相続人の配偶者が被相続人の亡父母の養子となっていた場合

いわゆる婿養子のケースである。婿養子Aは、妻X(被相続人)の両親の養子であるから、法律上は、Xの配偶者であると共にXの兄弟でもある。Xが亡くなったときに、配偶者としての相続分と、兄弟としての相続分を主張できるかという疑問が生じるが、兄弟としての相続分はない(戸籍先例:昭和23・8・9民甲2371)。

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