相続人が取得した遺産を相続税の申告期限までに国等に贈与した場合の相続税非課税財産(措法70)

相続又は遺贈により財産を取得した者が相続した財産を相続税の申告期限までに租税特別措置法70条所定の法人に寄附した場合、寄附をした者やその親族・特別関係者の相続税・贈与税の負担が不当に減少する結果となる場合を除き、寄附をした財産の価額を相続税の課税価格に算入しないことができる。

相続人が相続税の法定申告期限までに相続した財産を法人に贈与(寄附)した場合の課税関係

寄附は相続税の計算には影響しない。普通法人は受贈益に対し法人税を負担する。法人は贈与税の納税義務者ではないので贈与税の課税対象にはならない。普通法人が同族法人の場合、法人に贈与をしたことにより株式又は出資の価額が増加した場合は、寄附した人から他の株主に対する贈与となる。

被相続人が法人に遺贈した場合の課税関係(受遺者法人の態様別課税関係)

普通法人は受贈益に対し法人税を負担する。法人は相続税の納税義務者ではないので相続税の課税対象にはならない。普通法人が同族法人の場合、法人に遺贈をしたことにより株式又は出資の価額が増加した場合は、遺贈者から他の株主に対する贈与となる。遺贈者は遺贈財産を時価で譲渡したものとみなされ所得税を課税される。

原則

相続又は遺贈により財産を取得した相続人は相続税の納税義務を負う。相続後に取得財産を他に贈与しても、相続税の計算に影響はない。被相続人が遺言で財産を法人に寄附すると、寄附財産は相続税の課税対象から外れ法人税の課税対象となる。

登録免許税・不動産取得税・印紙税

信託受益権を売買により取得した場合、不動産を売買により取得した場合に比べて登録免許税・不動産取得税、印紙税の負担が非常に少なくなる。そのため、特に高額の事業用不動産の場合、当該不動産を信託財産としたうえで信託受益権の売買が行われることが多くある。

信託税制の概要

信託収益に対しては、受益者と信託財産の結びつきの程度によって、受益者段階課税(発生時課税)、受益者段階課税(受領時課税)、信託段階法人課税の三つの方法のうちのいずれかより課税される。

遺言信託と遺言代用信託

遺言信託とは、信託法では遺言により信託を設定することをいうが、一般には信託銀行の提供する、遺言書作成についてのアドバイス、相続開始時まで遺言書を保管、さらに遺言の執行まで行うサービスである。遺言信託を利用することにより、遺産相続がスムーズに行えるようになる。

信託制度の概要

信託とは、委託者が受託者に財産を移転し、受託者が信託の目的に従って、受益者のためにその信託財産の管理・処分をすることである。

租税特別措置法40条の要件

個人が土地、建物などの資産を公益法人等に寄附した場合、その寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するなど一定の要件を満たすと国税庁長官の承認を受けたときは、その資産の取得時から寄附時までの値上がり益に対する所得税を非課税とする制度が設けられている。

所得税法59条と租税特別措置法40条

相続や贈与の場合に、被相続人や贈与者に譲渡所得を課税し、相続人や受贈者に相続税や贈与税を課税するのは国民感情から乖離する課税形態であるとの理由で昭和27年、昭和37年、昭和48年の改正を経て、現行法は、相続や贈与があった場合、譲渡所得の課税対象とすることなく取得価額の引き継ぎによる課税の繰り延べが行われている。

受遺法人等に対する課税

株式会社など営利法人が遺贈を受けた場合、受贈益に対し法人税が課税される。営利法人が相続税の納税義務者となることはない。営利法人に対する利益の供与により、その法人の株価が上昇するときには、遺贈者から営利法人の株主に対し株価上昇分の経済的利益の遺贈があったと認定され相続税の課税が行われる。

遺言による換価分割

遺言による換価分割(清算型遺贈)は、遺産を換価し、その対価として得られる金銭を共同相続人間(包括受遺者を含む。)に分配することを指示した遺産分割方法の指定である。遺言執行者がある場合は、遺言執行者が相続財産の一部又は全部を換価して相続人や受遺者に分配することとなる。

遺言と異なる遺産分割

遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の対象となった相続財産について、処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができないので遺言が分割方法を指定していれば、遺言の指示の通り遺産は分割される。遺留分を侵害する遺言も当然に無効となるものではない。