相続又は遺贈により財産を取得したものが、相続税の申告期限までに、相続又は遺贈により取得した財産を公益法人等に贈与した場合、一定の要件を具備しているときには、その財産は相続税の非課税財産になる(措法70①)。
委託者である居住者がその有する資産を信託し、法人が適正な対価を負担せずに受益者やみなし受益者となる場合には、その法人が対価を負担していないときは、信託目的財産を委託者である居住者から贈与により取得したものとされる。この場合、委託者である居住者は信託財産を時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税される。
個人が法人に対し負担付贈与をしたときは、負担額が贈与する財産の時価の2分の1未満であるときは、時価で譲渡したものとみなされる。法人に対しては、受贈資産の時価と負担額との差額を受贈益として法人税が課税される。
父Aが所有している甲土地(時価8,000万円、相続税評価額6,400万円:取得価額800万円)と子どもBが所有している乙土地(時価3,000万円、相続税評価額2,400万円:取得価額480万円)を交換した場合の課税関係を例に見てみる
個人が死因贈与により財産を取得したときは、相続税の課税対象となる。法人が死因贈与により財産を取得したときは、受贈益に対し法人税が課税され、相続税の課税対象にはならない。被相続人が法人に時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税される。
贈与税の配偶者控除は、戸籍上婚姻期間が20年以上の夫婦において、夫から妻、又は妻から夫に居住用の土地、借地権、底地、家屋を贈与した場合や居住用の不動産を取得するための金銭の贈与があった場合に、一定の要件を満たせば贈与税の課税価格から2,000万円を控除するという規定である。
特定贈与者から相続又は遺贈により取得した相続時精算課税制度適用者は、特定贈与者からの贈与により取得した相続時精算課税制度適用財産の価額を相続税の課税価格に加算する。加算する相続時精算課税制度適用の価額は、贈与税の申告書に記載されている価額ではなく、贈与税の課税価格の計算の基礎に算入される財産に係る贈与時の価額である。
特定贈与財産とは、婚姻期間が20年以上である被相続人の配偶者が被相続人から贈与により取得した居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭。特定贈与財産は3年以内加算の規定(相法21の2④)が適用されない。
贈与税の3年内加算の対象となる者は「相続又は遺贈により財産を取得した者」である。法定相続人であっても、相続又は遺贈により財産を取得しない者は対象とならない。法定相続人でなくても、遺贈により財産を取得した者が相続開始前3年以内に被相続人から受けた贈与により取得した財産は、加算の対象となる。
特別障害者と一般障害者の要件は障害者控除(相法19の4)の適用において、特別障害者と特定一般障害者の要件は特定障害者に対する贈与税の非課税(相法21の4)の適用において必要となる。
個人が財産を信託銀行に信託し特定障害者を受益者とした場合でも、相続税法は信託財産が贈与されたものとみなしている。当規定は特定障害者の生活の安定を図るために行われる一定の要件を具備する信託契約であれば、特別障害者は6,000万円まで、特定一般障害者は3,000万円までの信託財産については非課税とする規定である。
特定公益信託で財務大臣が指定する学術に関する貢献を表彰するもの若しくは価値がある学術に関する研究を奨励するものから交付を受ける金品又は学生若しくは生徒に対する学資の支給を行うことを目的とするものから交付を受ける金品は、委託者が個人である場合には贈与とみなされるが、贈与税を課税しない規定を設けている。
公益の増進に寄与するところが著しいと認められる事業のみを専念して行う個人及び高度の公益事業のみを目的事業として行う代表者又は管理者の定めのある人格なき社団・財団が個人から贈与により取得した財産で公益を目的とする事業の用に供することが確実なものは非課税財産とされ贈与税は課税されない。
親の離婚に伴う養育費の請求は、未成年者が同居しない親に対して持つ扶養請求と捉えることができる。養育費は日常的に負担する費用であるので、養育費の総額を一括払いした場合、原則として贈与課税の対象となる。課税を避けるためには、一括受給された養育費を金銭信託し、毎月一定額の均等給付を受ける法法がある。
教育資金贈与信託とは、祖父母が信託銀行と贈与資金管理契約を結び、金銭を信託し、孫を受益者に指定する信託である。孫は教育資金贈与信託の受益者になったときに、信託に関する権利を祖父母から贈与により取得したものとみなされるが、信託受益権の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の金額については、贈与税が課されない。