緑地保全地区内にある山林等

都市緑地保全法で規定する緑地保全地区は、緑地としてしか利用できないという厳しい制限があるため一般の売買実例はほとんど無く、路線価等の評定は困難という現状があります。このため、緑地保全地区内でないものとして評価した場合の価額から、利用制限の程度に応じて一定の評価減を行うという方法を採用しています。

造成残地としての山林

市街化区域にあるが、宅地造成すると採算がとれない、あるいは急傾斜地のため造成工事が不可能であるような山林が郊外に散在していることがあります。このような市場性を有しない山林は、近隣の純山林(山林としての本来の用途に供される山林)に比準して評価することができます。

生産緑地地区に指定された市街化区域内の農地

市街化区域内の農地は、通常は宅地として価格形成がされますが、生産緑地地区に指定されると、原則として、農地以外の利用はできなくなります。こうしたことから、生産緑地の価額は、その利用上の制限を考慮して、買い取り申し出のできる日までの期間に応じて定めた一定の割合を減額して評価します。

倍率地域にある農地

「倍率表」で宅地の欄に倍率が表示され、農地の欄に「比準」と表示された地域については、宅地に比準して農地を評価します。近傍宅地の固定資産税評価額に画地補正が必要な場合は、路線価方式と同じように補正できます。

路線価地域にある農地・山林

宅地として利用されることでその土地の効用が最大に発揮できる地域にある土地が、農地または山林である場合には、造成等をして宅地に用途を変更して利用するというのが経済上合理的であるため、市場価格は宅地を前提として形成されます。したがって、農地・山林であっても宅地に比準して評価することになります。

意外に多い登録有形文化財

文化財建造物及びその敷地については、それが文化財でないものとして評価した価額から、その文化財の種類に応じた法的規制の程度または利用上の制約等に応じて一定の評価減を行うという方法により評価します。

大規模工場用地等

大規模工場用地等は面積の規模が大きく、画地調整の必要はほとんどありませんし、あったとしても路線価に織り込まれていますので、面積を乗じるだけで計算できます。

将来道路がつく土地

将来土地計画道路が敷設されることによる思惑的実勢価格の上昇は、公示価格水準の価格に極力影響しないように評価額が決められます。このような宅地は道路用地として買収されるまでの期間が長期間にわたることが一般的であり、現在の利用には特に支障がない場合であっても、土地計画道路予定区域外の価額に比較して減価することになります。

セットバックを必要とする宅地

セットバックを必要とする宅地は、将来、私道となることが法的に予約されており、既にある私道と同じ評価減となっています。このような減価要因を有する土地の価額は、評基通の定めにより評価した価額から、将来、道路敷として提供する部分に対応する価額の70%相当額を控除して評価することとされています。

私道の評価

私道もがけ地と同じように、接面する宅地と一体となってその効用を発揮していますので宅地の一部として評価しますが、同時に特定の通行人にも通路として利用されることから、私道部分の評価額は宅地の評価額の30%で評価します。

容積率とは

容積率は、有形的利用及び権利の態様と収益性に大きく影響する土地の価格の形成要因ですので、特に商業地ではその率をよく確認しておくことが必要です。そのため、一画地の土地が容積率の異なる二つの地域にわたるような場合には、評価額を調整する必要があります。

がけ地とは

この場合のがけ地とは、宅地の一部にのり面があり宅地と一体となってその効用に貢献している斜面のことで、山の斜面という意味ではありませんので、早合点しないように注意が必要です。あくまで「がけ地等を有する宅地」という表現になっているのです。「法面(のり面)」と考えた方がわかりやすいでしょう。

無道路地について

無道路地は道路をつけて初めてその市場価値が生じますので、少なくとも袋地にしないと評価ができないわけです。それには道路敷設費がかかりますが、その相当額を通路部分の評価額として控除するのが評価上の特徴です。ですから、袋地の場合と異なり、通路部分の評価に際して、画地補正はしないことになります。

袋地について

袋地は、通路部分である土地の一部が細くなっているだけで他の部分と一体となっている不整形な宅地と考えます。袋地も不整形地の一種ですが、前面の他人所有地が大きく土地の価値を下げている点が特徴です。不整形地と同じような評価方法を用います。