無道路地にこれから敷設される私道と、宅地に既に敷設されている私道との関係は、嫁入り前の娘と妻の関係にどこか似ています。私道は後者のような立場です。
私道もがけ地と同じように、接面する宅地と一体となってその効用を発揮しています。
しかし、対象評価宅地の評価は道路に面した土地と同じ路線価を基に計算していますので、私道が宅地の市場価値に貢献した部分は対象土地の評価額に反映されていることになります。したがって、宅地の一部として評価しますが、同時に特定の通行人にも通路として利用されることから、私道部分の評価額は宅地の評価額の30%で評価します。袋地の評価では通路部分は他の通行人の利用に供されることはありませんので、私道評価して控除しないことを合わせて理解する必要があります。
なお、私道であっても不特定多数の者の通交の用に供されているときは、評価する必要はありません。
また、税務署で私道に特定路線価を設定してもらって評価する方法もあります。
正面路線価を基に評価する計算例は次のとおりです。
150,000円(正面路線価)×1.0(奥行距離16mに対応する奥行価格補正率)×256㎡(abcdで囲まれた土地の地積)=38,400,000円
150,000円(正面路線価)×0.97(奥行距離8mに対応する奥行価格補正率)×96㎡(aefgで囲まれた土地の地積)=13,968,000円
38,400,000円-13,968,000円=24,432,000円
24,432,000円÷160㎡(256㎡-96㎡)=152,700円
152,700円×64㎡×1/6×0.3=488,640円