その土地の地区区分は、奥行価格補正後の路線価が最も高い路線で判定します。
評価対象の土地の市場価格は、【表1】のどこに位置するかにより不動産市場での価格形成過程が異なります。つまり、個別性のある市場が形成されています。
例えば、市場ごとに、目安となる最適な宅地規模が違いますし、またシュエ規制を重視するか費用性を重視するか等、市場参加者の価値判断も異なります。したがって、地区区分の判定は、初めの重要なステップになるというわけです。
土地を評価する場合、その土地の市場価格が形成される上で最も影響力のある用途の判断において、評価対象地に接する一番高い路線価がつけられている路線が属する地区区分で判断するというのは正確ではありません。その土地がどのような用途に供されることを前提として価格が形成されるかという観点から見ると、その土地の市場価格に最も影響力を持っている路線(正面路線価)はどの路線価かということが重要なのです。一般的には接面道路との距離が離れれば離れるほど影響力は減少します。そこで、土地全体に及ぼす影響力は、奥行価格補正後の価格を基に判定することになります。
一見すると、路線価の高い普通商業・併用住宅地区になると考えがちですが、奥行価格補正を行うと、次のようになります。
200,000円(路線価)×0.92(奥行距離5mに対応する奥行価格補正率)=184,000円
185,000円(路線価)×1.0(奥行距離10mに対応する奥行価格補正率)=185,000円
184,000円<185,000円
となり、この土地は普通商業・併用住宅地区よりも、普通住宅地区内にある土地として価格が形成される傾向が強いため、地区区分は普通住宅地区となり、画地調整率はこの地区のものを使用することになります。