将来道路がつく土地
将来道路がつく土地は割安?
将来、土地計画道路が敷設されることによる思惑的実勢価格の上昇は、公示価格水準の価格に極力影響しないように評価額が決められます。
都市計画道路予定地となっている区域内においては、土地計画法の規定により通常2階建ての建物しか建築できない等、建物の建築に制限を受けることから、宅地として通常の用途に供する場合に利用の制限があります。
また、このような宅地の価額は、道路用地として買収されるまでの期間が長期間にわたることが一般的であり、現在の利用には特に支障がない場合であっても、その宅地の価額は、土地計画道路予定区域内に無い宅地の価額に比較して減価することになります。
したがって、このような減価要因を有する宅地の価額は、地区区分、容積率、地積割合の別に応じて定める補正率を乗じて計算した価額により評価します。
地積割合 | 地区区分 | |||||||||
ビル街地区、高度商業地区 | 繁華街地区、普通商業・併用住宅地区 | 普通住宅地区、中小工場地区、大工場地区 | ||||||||
容積率 | 容積率 | 容積率 | ||||||||
700%未満 | 700%以上 | 300%未満 | 300%以上 400%未満 | 400%以上 500%未満 | 500%以上 | 200%未満 | 200%以上 300%未満 | 300%以上 | ||
30%未満 | 0.88 | 0.85 | 0.97 | 0.94 | 0.91 | 0.88 | 0.99 | 0.97 | 0.94 | |
30%以上 60%未満 | 0.76 | 0.70 | 0.94 | 0.88 | 0.82 | 0.76 | 0.98 | 0.94 | 0.88 | |
60%以上 | 0.60 | 0.50 | 0.85 | 0.80 | 0.70 | 0.60 | 0.97 | 0.90 | 0.80 |
- 地区区分:普通住宅地区
- 容積率:200%
地積割合
50㎡(都市計画道路予定区域内にある宅地の地積)÷300㎡(評価対象地の地積)=0.1666
自用地評価額
200,000円(正面路線価)×0.95(奥行距離30mに対応する奥行価格補正率)×300㎡=57,000,000円
評価額
57,000,000円×0.97(都市計画道路予定地の補正率)=55,290,000円
仮に、この場合その土地の全部が道路予定地とすると、評価額は次のようになります。
地積割合
300㎡(都市計画道路予定区域内にある宅地の地積)÷300㎡(評価対象地の地積)=1.0
自用地評価額
200,000円(正面路線価)×0.95(奥行距離30mに対応する奥行価格補正率)×300㎡=57,000,000円
評価額
57,000,000円×0.90(都市計画道路予定地の補正率)=51,300,000円
この二つの計算例から、都市計画道路予定地の土地全体に占める割合が17%以上でも100%でもそんなに大きく評価が下がるわけでは無いことが分かります。これは、将来道路ができることによる残地の価格形成要因が大きく代わる可能性と、予定地は公示価格を基準として買収価額が決定され、また税法上の恩典(5,000万円控除や代替資産の取得の特例など)が影響していると考えられます。公示価格は、道路ができることが確実にならない限りその影響を織り込まないことになっていますので、控えめの価格となります。
以上の点から、都市計画道路予定地となっている区域内の土地を活用あるいは移転する場合には、それぞれの土地ごとに損得をよく検討する必要があります。
なお、都市計画道路予定地となっている区域内の土地評価上の注意点は、次のとおりです。
- 都市計画に合わせて指定されるもの(指定容積率)と建築基準法独自のもの(基準容積率はありますが、建築基準法第52条第1項において準用する容積率)は、どちらも低いものとなりますので、評価計算上で用いる容積率も同じ容積率によることになります。
- 倍率地域内にある宅地が都市計画道路予定地にあるときは、「普通住宅地区」内にあるものとした場合の上記補正率を適用することができます。
- 道路以外の他の都市施設、例えば都市高速鉄道、都市計画公園または緑地等の予定地のうち、都市計画の公告後長期間にわたって事業決定の認可等がされない場合には、都市計画道路予定地と同じように評価減ができます。
- 農地であっても宅地として価格が形成されるような市街地農地を評価する場合にも、都市計画道路予定地内にある場合には同じように評価減ができます。