相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産の登記名義を被相続人(亡くなった方)から相続人へ名義の変更を行なうことで、被相続人名義の不動産を相続人が相続(取得)した場合に、被相続人から相続人に名義変更する手続きです。
相続登記申請書、登記原因証明情報、相続人の住民票、登録免許税等が必要となります。この中の登記原因証明情報とは、相続があったことや相続人が誰であるかなどを証明する書面で、被相続人や相続人の戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などです。
所有権取得の登記が完了した際に、法務局から朱色の受付印の押してある登記済権利証が発行されて、当該書類は不動産の所有者のみが保有する書面として認識されてきましたが、平成16年の不動産登記法の改正によって発行されなくなり、登記済権利証の代わりに登記識別情報通知書というものが発行されます。従来の登記済権利証が無効となるわけではないので、既に発行されている登記済権利証は有効です。
登記識別情報通知書とは従来の登記済権利証とは異なり、法務局の受付印は押してありません。12桁の英数字の羅列である暗証番号のようなものが印字されており、これを登記識別情報と称しています。この番号を知っている者が不動産の権利者と認識されます。
登記識別情報は法務局から提供された段階では目隠しシールにより封印されています。登記識別情報を保管する際は、目隠しシールをはがさず、そのまま保管してください。
相続登記は被相続人が亡くなったことを原因としており、売買等の場合と違って当事者の意思が原因となっていないため、登記済権利証を添付して意思を証明する必要がありません。相続が発生してそれを誰が引き継ぐのかは、戸籍や遺産分割協議書で証明することになっていますので、通常の相続登記の手続きにおいて登記済権利証や登記識別情報は添付書類にはなっておらず、紛失していても相続登記はできます。
例外として、登記簿に記載されている被相続人の住所を証明する住民票が発行されないなど、戸籍上の住所と登記簿上の住所のつながりがつかない場合には、権利証または登記識別情報が必要となります。たとえば、住民票や戸籍附票は、死亡等で除かれた日から5年を経過すると写しの発行ができなくなり、住所をつなぐことができなくなるので、登記済権利証等が必要となるのです。
また、登記原因が相続ではなく、遺贈の場合には、登記済権利証が必要となる場合があります。