生命保険付きの住宅ローンや団体生命保険に加入している場合は債務者が死亡するとローンの残金は保険会社が支払うことになり、ローンの承継は必要ありません。
遺産分割協議によって分割を決められるのはプラスとなる財産(積極財産)だけで、 住宅ローンなどの金銭債務は遺産分割の対象にはならないとされています。
金銭債務などのマイナスの財産は、プラスの財産の相続と同時に法定相続分に従って継承されます。プラスの財産を相続したからには債務負担を拒否することはできないのです。
ローンを相続人間の協議した結果の割合で継承する場合、債権者側の承認が必要となります。
例えば、相続人間の話し合いにより相続人の一人が債務を全部引き継ぐと決まったとしても、債権者側の金融機関が承諾しないかぎりそれを主張することはできません。債権者はローン継承者の資産や収入を調査し、その者が継承することで不利益が生じないかどうかを判断し、承諾するかどうかを決定します。
承諾が得られれば、継承が成立するのです。
ローン継承が承諾されると、金融機関と『免責的債務引き受け契約』を締結することにより、債務を引き継いでいない相続人は金融機関からの取り立てから免責されることになります。当該契約には遺産分割協議書、被相続人の死亡証明書または除籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書を添付し、債権者である金融機関に提出します。