店舗兼住居の贈与について

贈与税の配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産を贈与された場合、贈与税の計算上、配偶者控除として最高2,000万円を特別に控除することができる制度です。贈与税の基礎控除額110万円とは別に設けられた制度であるため、配偶者控除の条件に該当する人は最高2,110万円までの居住用不動産の贈与について贈与税を納める必要はありません。

贈与税の配偶者控除が適用される居住用不動産は、もっぱら自己の居住の用に供する不動産に限られていますので、店舗兼住居のような家屋のうちに居住用以外に使用されている不動産について、贈与税の配偶者控除の適用がないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、以下の算式によって計算した部分については、その適用が認められます。

なお、居住の用に供している部分が全体のおおむね90%以上を占める物件であれば店舗部分も含めすべてに配偶者控除を受けることができます。

店舗兼住居等の居住用部分の計算

(1)建物の計算

① + ② × ① /( ③ - ② )= 店舗兼住居等の建物の居住用部分面積

① 建物のうち居住の用にもっぱら使用している部分の床面積
② 建物のうち居住の用と居住の用以外の用とに併用されている部分の床面積
③ 建物の床面積

(2)敷地の計算

① + ② × 上記(1)の店舗兼住居等の建物の居住用部分 / 上記(1)の③ = 店舗兼住居等の敷地の居住用部分面積

① 敷地のうち居住の用にもっぱら使用している部分の面積
② 敷地のうち居住の用と居住の用以外の用とに併用されている部分の面積

共有持分の贈与があった場合の居住用部分

共有持分の贈与の場合は、その共有持分が、以上の算式により計算した店舗兼住居等の建物の居住用部分面積/建物の床面積、店舗兼住居等の敷地の居住用部分面積/敷地の面積で計算した割合以下であれば、その共有持分に対応する部分を居住用不動産に該当するとして申告があったときはそれを認めるものとするとされています。