被相続人が死亡した際、死後の財産の分配について遺言が残されていない場合、相続開始(被相続人の死亡)と同時にその財産は相続人全員で共有している状態となります。
遺産分割を行わず、全ての遺産を相続人全員の共有財産として残しておくことも可能ですが、共有のままではその財産の管理や運用に支障を生じ、将来もめ事の原因となりかねません。
それを未然に防ぐためにも、相続が発生した際は早期に遺産分割の協議をして個々の遺産を各相続人に配分しておくのが賢明です。
このように相続財産を誰が取得するか決めて相続人間で分配することを遺産分割といいます。
遺産分割を行う際には、相続人が全員で分割協議を行う必要があります。
一般的には、自宅は配偶者、事業権などがある場合は事業を継承するべき相続人(長男など)が相続するケースが多いようです。
また、ほとんどの財産を配偶者に相続させるケースもあります。
配偶者の税額軽減の枠までは相続税が0になるので、一見税金面でもお得です。ただ、長い目で見ると、早い段階で財産を次の世代に移しておいた方が得な場合もあります。例えば、お父様が亡くなってお母さまが遺産の多くを相続されたような場合、お母さまご自身が既にお持ちの財産と相続で取得された財産を合わせると、次の相続のときに納める税金が極めて多額になってしまうということもあり得ます。
2018年の相続法改正によって、配偶者居住権という制度が新設されました。遺産分割協議の中で、配偶者居住権の取得を希望し共同相続人全員の合意を得れば、自宅の敷地・建物を相続しなくても、配偶者は終生居住建物の使用収益ができるという権利です。
分割協議によるほか、遺産分割の審判や遺贈・死因贈与によっても取得することができます。
この制度は、2020年4月1日から施行されました。