寄付を受けた法人の税務

遺言により財産を法人に寄付すると、寄付された財産は相続税ではなく法人税の課税対象となります。

寄付を受けた法人が営利法人なら、寄付財産の時価を受贈益として法人税が課税されます。
寄付を受けた法人が公益法人なら、法人税法は受贈益に対し課税しない仕組みになっているので、相続税も法人税も課税されません。

この仕組みを利用して相続税を不当に軽減しようとする場合、相続税法は寄付を受けた法人を個人とみなして相続税の納税義務者とする規定を置いています。(相続税法66条4項、6項、施行令33条3項)
相続税が不当に軽減される場合とは、簡単に言えば、受贈法人が一族支配されている法人をいいます。
(詳しくは幣著「頼られる税理士になるための相続・贈与・遺贈の税務」中央経済社刊をご参照ください。)

遺贈者の税務

法人に遺贈した財産が不動産や株式など、含み益のある資産なら、譲渡所得の課税対象となります。

単に寄付をしただけなのに時価で売ったとみなされ所得税を課税されるの?というご質問をよく受けます。
課税される根拠は、所得税法59条1項2号、施行令169条に「個人が時価の1/2未満で資産を法人に譲渡した場合には、時価で売ったものとみなす」としている規定にあります。個人が所有していた間に生じた値上がり益に対しては所得税を負担していただく、というのが立法の趣旨です。

国または地方公共団体に寄付した場合、租税特別措置法40条に所得税59条1項2号を適用しない規定があります。(法人に対する譲渡がなかったものとする。)

公益を目的として事業を行う法人に対して遺贈があった場合、寄付を受けた法人が寄付を受けた日以後二年以内に寄付を受けた財産を直接事業の用に供した場合に、国税庁長官の承認を受けたものは所得税法59条1項の譲渡はなかったものとする規定があります。


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