新株引受権が贈与の対象になる場合

同族会社の新株の割当てを受けた者がその新株を引き受けず、その株主の親族等が代わって引受権を行使した場合、その新株引受権は贈与によって取得されたものとみなされ、贈与税が課税されます。誰からどれだけの数の募集株式引受権の贈与があったものとするかは所定の算式があります。

店舗兼住居の贈与について

贈与税の配偶者控除を受けられるものは居住用の不動産か居住用不動産の購入資金とあり、住居用であるかないかに重きを置かれています。店舗兼住居の場合はその住居部分を優先して特別控除が受けられますので、土地面積のうち住居部分が占める割合から受けられることになります。

贈与税額控除とは

人の死亡を原因とした財産の取得に関しては相続税が、贈与契約による取得については贈与税が課税されることになっています。相続税法において贈与税は相続税の補完税という位置づけで、贈与税額控除という制度が設けられています。贈与税を申告し納付している場合には、納めた贈与税額を相続税から控除するという規定です。

負担付贈与とは

負担付贈与とは受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与です。負担付贈与により財産の贈与を受けた場合、贈与を受けた財産額からその債務額を控除した金額を贈与税の課税財産として申告することになります。贈与財産額からその負担額を引き、基礎控除にあたる110万円を引いた額に贈与税率を掛けたものが贈与税となります。

相続開始前7年以内の贈与について

相続税対策として生前に親族等に贈与すると相続財産が減って相続税を減額する効果があります。しかしながら令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以降に相続が開始した場合には相続日の7年以内に法定相続人又は受遺者に贈与した場合その財産は相続財産に加算して相続税を計算します。これは贈与税の申告をしたものであるか否かに関わらず加算されます。

特定贈与財産

贈与財産には贈与税が課されますが、婚姻関係が20年以上の夫婦間であれば特別控除が受けられ、その年分の贈与財産から2,000万円の控除があります。婚姻関係20年以上の配偶者から贈与された居住用不動産や、居住用不動産購入資金として贈与された金銭のうち、贈与税の配偶者控除額に相当する受贈額のことを特定贈与財産と呼びます。

相続税法第7条の「著しく低い価額」とは

相続税法第7条には「著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては当該財産の譲渡があった時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があった時における当該財産の時価との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与により取得したものとみなす。」という記述がありますが、明確な規定はありません。

資力喪失の場合における債務弁済 譲渡へ

資産を譲渡し利益が発生する場合所得税が課税されますが、例外的に課税されない場合があります。 債務者が資力を喪失し、弁済の能力がないと判断された場合、その資産の譲渡については課税が免除されます。 これには以下の①または②の場合に適用があります。

預金の名義変更と贈与税

名義変更しただけで「変更時に名義人が贈与を受けた」として贈与税が課税されることはありません。預金は「名義が誰であるか」より「実質の所有者が誰であるか」によって判断し、通常「名義預金」と称され「実質の所有者のもの」として取り扱います。名義預金は相続税の調査でよく問題とされる相続財産です。

名義変更と贈与

相続税基本通達には『不動産、株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする。』とあり、不動産、株式に関しては名義変更したことは贈与にあたるとされ、贈与税が課税されます。

金銭貸借が無利息の場合

親子、親族間で無利息の金銭消費賃借を契約する場合があります。金額にも依りますが、親からの贈与として贈与税の課税を避けたいのであれば、きちんと弁済していることが一番です。これを証明するために、手渡しではなく銀行振込みなど、後日明確にできる方法で弁済する必要があります。返済の事実があれば贈与税を課税されることはありません。